(2010年度配本)
1,児童の道徳性の発達について述べよ。
2,道徳教育を成功させる方法の原理についてのべよ。
(1) 道徳性とは社会に存在している様々な規範、規準、価値などを知り、自分の考えや行動を調整してゆこうとする個人の特性である。道徳性に関する諸研究のうちピアジェ、L.コールバーグ、パンデュラの研究から、児童の道徳性の発達について検討したい。
ピアジェは道徳性の発達について認知的側面から研究を重ね、インクの染みの例話をきかせる実験をした。父のインクでa、遊ぼうとしてインクを少しこぼした、b,インクが少なくなっていたので足そうとして大量にこぼした―この2つでどちらが悪いか問うたのである。7・8歳ごろまでの子どもはインクのしみの大きさで行為の善悪を判断し、9、10歳ごろの子どもは行為の動機から判断するようになるとした。ピアジェは実験から7、8歳頃まで、大人の権威や懲罰に従うことを正義と考える時期、9歳~11歳頃は平等を重視して正義を考える時期、12歳頃から形式的平等ではなく実質的平等、公正であることを正義と考える時期だとした。そして道徳性の発達は個人差はあるが一般的にいって年齢特有な順序性を示すとしたのである。
ピアジェの理論を発達させたのがコールドバーグである。彼は、道徳判断の発達...