『鑑賞』
本レポートではモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番の第3楽章、『トルコ行進曲』を取り上げ、楽曲・作曲家について、また音楽鑑賞の意義について述べる。
(1)楽曲について
モーツァルトのトルコ行進曲は、モーツァルトの代表作品の一つである。まずトルコ行進曲の「トルコ」という言葉であるが、当時はオスマン帝国と呼ばれていた。1683年の第二次ウィーン包囲など、オスマン帝国は2度にわたりウィーンを包囲するなどした。このオスマン帝国の「メフテル」という軍楽隊が打楽器やラッパを多用していた。大太鼓、トライアングル、シンバルなどの打楽器やラッパなどである。特に打楽器が一定のリズムを終止繰り返し展開するという特徴を持っており、そうしたリズムやメロディーがヨーロッパの人々に大きな衝撃を与えた。トルコ行進曲は、これによってインスピレーションを受けたモーツァルトによって作曲された。
しばしば見落とされるのはこの楽曲がピアノ・ソナタ第11番の第3楽章であるということだ。『トルコ行進曲』があまりにも有名なため、このソナタは「トルコ行進曲つき」とて、このソナタの代名詞のようになっている。第3楽章は「アラ...