ICD-10による分類表の第5章「精神及び行動の障害」の記載を元に神経症を分類し、その特性を述べる
ICDとは、世界保健機関によって公表された「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」の略称である。1900年に「国際死因分類」として発足した後、10年ごとに修正されている。ICD-10は10回目の修正版(1990年)で、現在、日本はこれに準拠して疾病の医学的分類を行っている。本稿では、ICD-10による分類表の第5章「精神及び行動の障害」の記載を元に神経症を分類し、その特性を述べる。
恐怖性不安障害
起こるはずのないことに対して過剰な不安や恐怖が持続する障害で、日常生活にも支障が出ることが多い。本人に自覚はあり、不安を感じる対象を避けようとする。
「広場恐怖」は、一人では対処不能な状況、すぐには出られない場所に強い不安を感じる状態である。不安のあまり外出できなくなったり、外出しても突然帰宅したりするうち、不安を起こす状況そのものを避けようとする。
「社会恐怖」は、人前に出て注目されることに強い不安を感じる。人前で話せなかったり、手の震え、吐き気、動悸、めまいなどの身体症状が出る。人前で行動することや、人と会うこと自体を避けるようになる。
「単一恐怖」は特定のものや場面に対し、異常...