刑法答案練習 殺人罪・自殺関与罪
~偽装心中~
【問題】
Xは、心中する意思がないのに、愛人A女との関係を清算するため、A女を欺罔しXが追死すると誤信させて自殺の決意を生じさせ、自殺に至らせた。
【問題点】
自殺関与罪における自殺の意思は自由な意思決定に基づくものでなければならないから、自殺の意思決定に瑕疵がある場合に自殺関与罪となるのか殺人罪になるのか。両罪の区別・限界をどのようにするか。
【見解】
1)行為者の追死が自殺の決意にとって本質的な意味を持つとみられ、自殺についての自由な意思決定が奪われるから、被害者を利用した殺人罪の間接正犯であるとする見解
2)被害者は、死ぬこと自体には錯誤がなく、ただその動機に錯誤があったに過ぎず、本人の意思に反して生命を侵害したことにならないから、自殺関与罪にあたるとする見解。
3)被害者に自己の生命に関する錯誤があれば、それは法益関係的錯誤であり無効であるが、被害者の生命と無関係な事情についての錯誤があっても有効であるから、自殺関与罪であるとする見解
【答案例】
1 Xは、A女を欺罔して、自己が追死するものと錯誤に陥らせて自殺の決意を生じさ...