腱板損傷についての概要をまとめたもの
腱板断裂
≪病態≫
腱板は、小円筋・棘下筋・棘上筋・肩甲下筋の腱によって構成され、上腕骨頭を関節窩に安定させ、肩関節運動に支点を与えている。中年になると、烏口肩峰穹窿(肩峰と烏口肩峰靭帯により構成)と上腕骨頭間に挟まれている棘上筋腱を中心に編成が生じ、易損性になる。この変性は表面を覆う肩峰下滑液包に慢性の炎症を生じさせ、肩峰下インピジメント症候群のstageⅡとなり、さらには腱板断裂が生じる。若年者では、外傷によって断裂が生じることもあるが、多くは外傷性腱板炎となるのみである。
腱板断裂にはNeerの提唱するsubacromial impingementによって滑液包側から起こる外因説(extrinsic mechanism)と、変性を基盤として関節面側から断裂が起こるCodmanの内因説(intrinsic mechanism)がある。
損傷は、腱板断裂と腱板炎に大別される。腱板断裂は、肩関節腔と肩峰下滑液包との交通の有無によって完全断裂(交通あり)と不全断裂(交通なし)に分けられる。完全断裂は大きさによって便宜上広範囲・大・中・小断裂などに、不全断裂は断裂部位により滑液包面(表...