慢性硬膜下血腫についての概要をまとめたもの
慢性硬膜下血腫 標準神経病学P.388
《病態》
くも膜と硬膜の間、すなわち硬膜下腔に出血が生じ長期にわたり貯留して血腫が形成された状態をいう。
急性硬膜下血腫とは異なり、軽微な外傷でも生じるが、外傷直後には発症せず、3週間以上経過してから若年者の場合は頭痛を呈し、高齢者の場合は痴呆症状や片麻痺を呈し気づくことが多い。
中高年男性に好発し、さらに飲酒の習慣のある者に多いため、泥酔者や高齢者では外傷歴がはっきりしないことがある。
出血傾向のある者にも見られる。
肝機能障害によるestrogen代謝異常や線溶系異常者にも発症することがある。
出産や出産後の外傷の合併症として新生児や乳児に見られ、特徴としては1歳以下に多く、50~62%が男児となり、また急性硬膜下血腫との鑑別が成人より困難という特徴を持つが、血腫が硬膜下腔全体に広がり、レンズ状を呈することが少ない。さらには水腫型(種種の程度に血液成分を含む液体が皮膜に包まれたもの)をとるものが多い。
《原因》
従来から硬膜の炎症説と外傷説があるが、現在では外傷説が有力である。
軽度の外傷...