「東インド会社の香辛料貿易とそれをめぐる争い」
東インド会社とは、17~19世紀のヨーロッパで、各々の国内での独占的特許状を与えられて、東インドとの間の貿易、及びその地域における植民地経営をいったところの会社のことである。東インド会社はイギリス、オランダ、スウェーデンなどに設立されたが、特に重要で歴史的意義をもつのはイギリスとオランダである。ちなみに東インドとはヨーロッパ人が西インドに対して、従来のインドを呼んだ名称であって、当時は“東方の物産”を産出する地域を指した。
イギリス東インド会社は1600年12月にエリザベス1世の東インド貿易独占の特許状付与によって設立された。会社の正式名称はロンドン東インド会社で設立推進の中心はレヴァント会社のスミスやロンドンの商人たちであった。初めは1航海ごとの個別企業制であったが、東インド貿易が永続性を帯びてきたことと優勢な敵であったオランダ東インド会社に対抗する必要があったために、1613年以降、より永続的な形態である合本企業制へ移行し始めた。その後、クロムウェルの時代には当座制を廃止し、チャールズ2世の時代には社員の有限責任制を確立して近代...