わが国の幼稚園と保育園の歴史的発展過程を概説し、両施設の今後のあり方について保育制度、保育内容・方法、保育者(養成)等の視点から考察しなさい。
保育学 573
2単位目
講評:ポイントに沿ってよくまとめられていた。
わが国の幼稚園と保育園の歴史的発展過程を概説し、両施設の今後のあり方について保育制度、保育内容・方法、保育者(養成)等の視点から考察しなさい。
わが国において本格的な幼稚園は、明治9(1875)年に政府によって創設された東京女子師範学校(現お茶の水女子大学)付属幼稚園に始まるが、この幼稚園は「良妻賢母」主義が強化される中で、「家庭教育を補足する」ものとして位置づけられた。また園児の多くは上流家庭の子弟であり、貴族的傾向を色濃くもっていた。東京女子師範学校には1878年、わが国最初の保母養成機関が設置され、卒業生たちは先駆者として各地の幼稚園設置の推進力となっていった。わが国の幼稚園は明治期を通して徐々に普及し、それと並行して幼稚園制度の基礎も磨かれていった。1879年には教育令の制定により、初めて幼稚園という名称が使用された。
幼稚園が上流階層の子どもを対象に、上から官主導でつくられていったのとは対照的に、保育所(託児所)は農民や、都市貧民層の子どもを対象に下から民間人の力によってつくられ、①子守り学校を契機に...