ジョン・デューイの描く理想的な学校像とは、
19世紀末から今世紀初頭にかけて、多様な教育改革運動を展開した「新教育運動(New Education Movement)」は、伝統的な旧教育を批判して産まれたものである。この運動は教育の確信を求める新しい理論や提言だけでなく、新学校や実験学校と呼ばれる新しい教育実践の試みも行われた。その中の「実験学校(Laboratory School)」といわれるのが、シカゴ大学付属小学校のことであり、これを1896年に設立したのがジョン・デューイなる人であった。デューイは,教育学を化学や物理学と並ぶ一つの実験科学であるとし、教育学の発展のためには蓄積された理論を検証する研究の場が不可欠であると考えた。そしてそこで13年もの年月をかけて教育理論を実践し、それをまとめたのが著書『学校と社会』なのだ。
デューイはシカゴ大学にて、「プラグマティズム(実用主義)」、「道具主義」、「実験主義」などと呼ばれる独自の思想的な立場を構築している。その基本的な考えは、観念の正しさとは、現実的・実際的な状況の中で、その観念を道具的・実験的に用いることで生じた結果によって検証...