政府の役割について
政府と経済とのかかわりとはいかなるものであるのだろうか。サムエルソンは近代の福祉国家の役割について、?経済の枠組みの設定(すなわち法律や経済的ゲームのルールの設定)、?高失業やインフレーションを押さえるようなマクロ経済的政策の確立、?課税・政府支出・規制による市場の失敗のフォロー、?社会的福祉のための所得の再分配を挙げている。このような役割は、市場や世論から見ても、特に不況=景気後退時には政府に対して期待するものであろう。すなわち、失業率の低下や生産の促進のために政府は経済にたいして積極的な役割を果たす。
上述の4つの役割について述べてみると、まず?の経済の枠組みについては、経済的ゲームのルール、すなわち財産の定義、契約や事業についての法、労使間の問題等の諸法規を確立することである。このルールが我々の社会構成の中に織り込まれることによって人々は諸活動を円滑に行う。
?のマクロ経済的政策の確立であるが、近代の政府は一般的に、慢性的失業や経済的停滞や価格の急上昇を防ぐという形で、景気循環を均そうと試みる。その際に金融政策と財政政策が展開されるのだが、これに関して、経済政策に関する2つの論争について少し考えてみたい。
第1の論争は、経済政策は積極的であるべきか、それとも受動的であるべきかという問題である。たとえば合衆国で1946年に制定された雇用法は、「完全雇用および生産を促進することは、連邦政府の継続的な政策であり責任である」と明言されている。
政府の役割について
政府と経済とのかかわりとはいかなるものであるのだろうか。サムエルソンは近代の福祉国家の役割について、①経済の枠組みの設定(すなわち法律や経済的ゲームのルールの設定)、②高失業やインフレーションを押さえるようなマクロ経済的政策の確立、③課税・政府支出・規制による市場の失敗のフォロー、④社会的福祉のための所得の再分配を挙げている。このような役割は、市場や世論から見ても、特に不況=景気後退時には政府に対して期待するものであろう。すなわち、失業率の低下や生産の促進のために政府は経済にたいして積極的な役割を果たす。
上述の4つの役割について述べてみると、まず①の経済の枠組みについては、経済的ゲームのルール、すなわち財産の定義、契約や事業についての法、労使間の問題等の諸法規を確立することである。このルールが我々の社会構成の中に織り込まれることによって人々は諸活動を円滑に行う。
②のマクロ経済的政策の確立であるが、近代の政府は一般的に、慢性的失業や経済的停滞や価格の急上昇を防ぐという形で、景気循環を均そうと試みる。その際に金融政策と財政政策が展開されるのだが、これに関して、経済政...