【テーマ】自然美の中のうずまき
【作品名】馬高式土器(火焔土器)
【基本データ】
出土場所:新潟県長岡市馬高遺跡
製作年代:縄文中期 紀元前3000~2000年
所蔵:東京国立博物館
人間は本能的に作品を作るとこのような作品が出来るのであろうか。名前通り、炎が燃え盛るような、この『火焔土器』は観る者をグッと引き込む力に溢れている。自然と人間が共存し、人も自然の一部であったこの時代には自然の轟き唸り上げるような野性のパワーを感じ取ることが出来る。今回は、縄文土器に多く見られる縄の渦巻きの模様や、渦巻状に付けられた装飾に的を絞り、古代人の感じた自然と、それに関連する他の時代の作品を比較して論じようと思う。
『炎』『水』『木の幹』『草のつる』『火山の煙』『気流』『雪崩』・・・これは自然界で見ることの出来る『渦巻き』の一例である。自然が渦を巻くとき、そこには必ず物質の動きがある。丁度、小さな火の粉が草に燃え移り、徐々に徐々に勢いを増しながら周りの草木を巻き込み、大きな炎の渦巻きの中に飲み込んでしまうように、小さな動きのきっかけが大きな動きを生み出し、破壊してしまう。えてして、自然の小さな動きが...