投票権と人種格差――M・L・キングを通して――小論

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    資料紹介

    投票権は黒人の何を変えたのであろうか。キングは「立法府の議場を善意の人々で満たし」と語り、また正しい裁判官や、人間的でキリスト的な知事を据えると述べている。投票権を持つことで、黒人たちは自らに発言権を持ち、また自らに不利益な法に対する抵抗権を得ることが出来る。そして今までの不条理な法を停止させ、また成功へのチャンスや、生活の重荷から解放されるだろう。これにより、少なくとも白人と同等の権利を得たのである。
    しかしながら、投票権を持つことで得られる恩恵は、果たして平等なものだったのだろうか。また同時に、本当に白人と同等になることが出来たのであろうか。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     キングが公民権運動の中で、成し得たかったこととは、一体何であっただろうか。それはすなわち「すべての人々が兄弟として共に生き、人間としての人格の尊厳と価値を尊重し合う」ということである。
     しかし現在においても、キングの成し得たかったことが実現しているとは言い難い。キングの働きによって、新たな問題が見えてきたからである。それは、黒人の権利が回復してもなお、埋めることのできなかった経済格差の問題である。
     本稿では、キングの成し得たことを踏まえた上で、何が問題であったか、また人種差別とは何が問題であるかを述べたい。
     キングによる公民権運動の中で、黒人の回復した権利として、投票権がある。投票権は行政に関わるものとして、国民に対する重要な権利であるが、これが事実上で黒人に認められたのは1965年の投票権法からである。
    まず黒人の投票権は、1868年の憲法修正14 条(法の平等な保護)で取り組まれ、1870 年の憲法修正15 条(人種によって投票権を拒否したり制限したりする事を禁止)によって「司法的な救済」がなされた。しかしながらこれらの修正憲法は、1892年に白人中心予備選挙が行われたり、...

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