学校の授業は教科書が基本となる。学校教育では、何か興味を持って自分から学習しない限り、教科書の内容が子どもの知識の大部分を形成することになる。したがって、歴史認識も教科書の通りとなってしまう。その教科書は、文部科学省の教科用図書検定基準に基づいて検定・採択、そして発行されるので、やはり国家が管理することになるのだが、近年その勢いを増してきた「自由主義史観」の登場で、国の内外に大きな波紋を寄せている。「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史教科書(扶桑社発行)について、このような記事がある。
「昨年の教科書検定で合格した教科書には多くの基本的な間違いがある。沖縄戦関係でいえばひめゆり学徒を『ひめゆり部隊』と軍隊化し、『勇敢に戦った』と記述した教科書が認められている」。これに対し、ひめゆり学徒の生存者は「『私たちは看護要員として戦争に巻き込まれた。よくも勇敢などと…』と絶句し、事実認識に誤りがあることを指摘した」
自国中心の歴史を学び、「過去」の反省のない教科書をもとに子どもたちが学習するとどうなってしまうのだろうか。歴史を共有することは不可能になってしまい、国際理解などの可能性もなくなってしまうだろう。
教科書が世界の争いをなくすために重要な意味を持っていると認識された例として、1925年に発表された「カサレス決議」が挙げられる。
カサレス決議 前段(1925年)
諸国民間の精神的な接近を達成するための最も有効な方法の一つが、他国に対する重大な誤解を招きかねない間違った印象を与える記述を教科書から抹消し、訂正することである。
第一次世界大戦が終わり、世界がさらなる戦争に向かって進み始めていたときに発表された決議である。教育は戦争のためではなく国際理解を通した平和のためにあるのだということを表した文章ではないだろうか。
教科書の重要性と日本の動き
学校の授業は教科書が基本となる。学校教育では、何か興味を持って自分から学習しない限り、教科書の内容が子どもの知識の大部分を形成することになる。したがって、歴史認識も教科書の通りとなってしまう。その教科書は、文部科学省の教科用図書検定基準に基づいて検定・採択、そして発行されるので、やはり国家が管理することになるのだが、近年その勢いを増してきた「自由主義史観」の登場で、国の内外に大きな波紋を寄せている。「新しい歴史教科書をつくる会」主導の歴史教科書(扶桑社発行)について、このような記事がある。
「昨年の教科書検定で合格した教科書には多くの基本的な間違いがある。沖縄戦関係でいえばひめゆり学徒を『ひめゆり部隊』と軍隊化し、『勇敢に戦った』と記述した教科書が認められている」。これに対し、ひめゆり学徒の生存者は「『私たちは看護要員として戦争に巻き込まれた。よくも勇敢などと…』と絶句し、事実認識に誤りがあることを指摘した」
自国中心の歴史を学び、「過去」の反省のない教科書をもとに子どもたちが学習するとどうなってしまうのだろうか。歴史を共有することは不可能になってしまい、...