『「人がことばを学ぶことの実質や本質と国語科との関係」について述べなさい。その際、国語科教育の基礎論、原論に立脚したうえで領域論や指導論にもふれること。』
1.ことばの力とその機能
ことばとは一体どのような力を持つものであろうか。人はことばによって物事を理解し、認識し、自己と他者との関わりについて考えを深めることができる。思考や感情、そして想像なども、すべてことばに依っている。ことばの力が身につかない状態では、人間は他者と通じ合うことはおろか、自分で自分の考えていることを理解することもできない。つまり人間は、何かを考えているときには必ずことばを使っているのである。このような力を持つことばは、以下の3つの機能に分けられる。
①伝達機能…通じ合うはたらき。ことばのはたらきの中で最も重要な機能で、人間が人間であることの大きな特徴であるといえる。子どもの発達段階を、子どもが社会化していく過程と考えると、この機能の育成を国語教育の中心目的のひとつとするのは当然である。
②認識機能…理解し、納得するはたらき。認識のはたらきの基本は、まず区別であり、次いでその意味づけである。この機能は、ことばと考え...