小説ノート13

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    コレラ時代の愛 2008年12月08日 ガブリエル・ガルシア=マルケス, 木村 榮一 「私は幸せなの」と彼女は行った。「だってそうでしょう、あの人が家にいなくても、今どこにいるか分かるんですものね」 女性なら彼をひと目見ただけで、愛に飢えていることが分かる、というのがもうひとつの強みだった。棒で殴られた犬のようにおどおどして街をうろついている物乞いを思わせる彼の姿を見ると、たいていの女性は情にほだされて、何かを求めたり、期待することもなく、この人に優しくしてあげて心の安らぎが得られれば、それでいいと思ってしまうのだ。 彼女は魅力的ではあったが、まわりのものを荒廃させるような雰囲気があった。 もし二人を結び付けているものがあるとすれば、それは愛のように気まぐれで当てにならないものであった。結婚した時点では、二人の間には愛は存在しなかった。二人してそれを築きあげようとしたとたんに、運命が彼らを現実に直面させたのだ。 いつの間にか彼らは互いに相手のことがよく理解できるようになっていたので、結婚して三十年もたたないうちに二人は文字通り一心同体になっていた。何も言わなくても相手の考えていることが...

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