小説ノート10

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    アカペラ 2009年03月12日 山本 文緒 汚れるという理由もあるでしょうが、明らかに「女避け」みたいなものと、俺ってほんとは男前なんだぜっつう本音を感じるのはタマコうがちすぎでしょうか。 愛情が濃くないほうが、関係がすべらかになった。 結婚するということは、私にとって握りしめているこの手を放すことだった。そして別の人と手をつなぐこと、家族になること。それが私にできるだろうか。私はあの子から離れることができるのだろうか。 そのために、未来のために、今はちょっとくらい会えないのを我慢しなくちゃならない。ちゃんと勉強して、働いて、大人にならないといけない。 人生がきらきらしないように、明日に期待しないように生きている彼らに、いつか、なくてはならない期待の星になるために。心を温める名前のあたしが。
    ★決壊 2009年03月12日 平野 啓一郎 (上)
    彼女が、一種の違和感として知った、内から着実に押し広げられてゆくような感覚は、本来は、この世界が新しい個体の出現に対して抱くはずの違和感なのだと、崇はやや唐突に話し始めた。悪阻というのは、そうした違和感に対する生体の尤もな拒絶であって、もし世...

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