1.カウンセリングの歴史
カウンセリングという名称で心理学的実践が始めてなされたのは、心理テストに基づいた助言指導・職業指導においてであった。1931年にカウンセリングという言葉が始めて文献に登場しており、第1次世界大戦を経て専門的心理テストが発達し、カウンセリングの職業化が進んでいった。しかし、適応性の乏しい病者などの心理療法とは区別されており、精神科医が行う資格を有するという見解が多かった。
その後、フロイトの精神分析とウィリアムソーのカウンセラー中心主義に対し、ロジャーズが1942年に「カウンセリング心理療法」を著した。この中で、診断や測定よりも過程を強調し、非医学的かつ非分析的な観点に基づくカウンセリング及び心理療法が提唱され、急速に発展していくことになる。個人の尊厳・個人の優れた価値に対するロジャーズの確信は、心理療法のみならず、職業指導においても重要な意味を持っていた。そして、クライエントを受容することが大切だとして、自らの立場を非指示的心理療法と位置付けた。技術をこえて、人間自体を尊重しようという考えがカウンセリングにおいて支持されるようになっていったのである。
日本では、第2次世界大戦以前にも児童相談や教育相談、職業相談は行われていたが、戦後の教育の民主化に伴いカウンセリングの理論や技法が本格的に導入されるようになった。1951年に友田不二男によりロジャーズの「カウンセリングとサイコロジー」が翻訳され、日本におけるカウンセリングはロジャーズの影響を強く受けるものとなった。1953年に東京大学に「学生相談所」が設置されたのが実践カウンセリングの始まりとされている。また、カウンセリングの専門学会として、1964年に日本臨床心理学会、1967年に日本相談学会が発足している。
「カウンセリングの歴史と課題について述べ、これからのカウンセラーに必要な資質とは何か述べよ。」
1.カウンセリングの歴史
カウンセリングという名称で心理学的実践が始めてなされたのは、心理テストに基づいた助言指導・職業指導においてであった。1931年にカウンセリングという言葉が始めて文献に登場しており、第1次世界大戦を経て専門的心理テストが発達し、カウンセリングの職業化が進んでいった。しかし、適応性の乏しい病者などの心理療法とは区別されており、精神科医が行う資格を有するという見解が多かった。
その後、フロイトの精神分析とウィリアムソーのカウンセラー中心主義に対し、ロジャーズが1942年に「カウンセリング心理療法」を著した。この中で、診断や測定よりも過程を強調し、非医学的かつ非分析的な観点に基づくカウンセリング及び心理療法が提唱され、急速に発展していくことになる。個人の尊厳・個人の優れた価値に対するロジャーズの確信は、心理療法のみならず、職業指導においても重要な意味を持っていた。そして、クライエントを受容することが大切だとして、自らの立場を非指示的心理療法と位置付けた。技術をこえて、人...