戦後日本に一貫する「小国主義」・対米追従の潮流にこうする思想、ナショナリズムの興隆について、高度成長期と現代を対比しつつ論じる。
戦後日本ナショナリズムの時代比較
序
戦後日本政治を特徴付けるものとして、「小国主義」が挙げられる。「小国主義」とは、軍事的自立を控え、アメリカの世界戦略に追従する立場を維持する安保外交政策であり、安保闘争後の高度成長期に定着した。これは第一に戦争忌避の国民意識、第二に米ソ冷戦構造、第三に未曾有の高度成長が要因として考えられる。詳細は割愛するが、「小国主義」は現在でも基本的に存続しているといえるだろう。
上記のような「小国主義」・対米追従から脱却するための思想として、保革両面から様々な形のナショナリズムが提起された。それらは高度成長や60年安保の時代を経て、いずれも挫折に至る。以下では、高度成長期前後のナショナリズムと、現代のグローバル時代における「ネオ・ナショナリズム」について時代状況を踏まえ比較検討し、その特徴と限界について考えていきたいと思う。
1、戦後の保革ナショナリズムとその挫折
敗戦の記憶から、戦後日本においてナショナリズムは忌避の対象とされた。この時代、戦前の天皇制ナショナリズムを脱却し、新たな戦後日本の自立と国民統合をはかるためのナショナリズムが保革双方から提起された。...