リーマンショック後の世界同時不況期において、日本企業はどのように中国と付き合って行けばよいのか。「世界の市場」であると同時に「世界の工場」になりつつある中国との関係は、これからの日本、日本企業の発展に欠かすことはできない。製造業の視点からの考察を試みる。
世界同時不況後の日本企業の対中関係について
序
2008年のサブプライムローン問題から端を発する世界同時不況後、いち早く回復に向かいつつあり、「第二の経済大国」または「世界の工場」、「世界の市場」として、これからの世界経済を間違いなく牽引していく存在となる中国と、どう向き合っていくのか、これは日本企業が直面する最大の問題であり、またチャンスでもある。
以下では、世界同時不況下の日本企業にとっての中国の重要性を把握していく中で、日本企業はどのような姿勢で中国と向き合うべきか、考えていきたい。
1、市場としての中国
2008年後半から始まった世界同時不況後、アメリカをはじめとして、西欧諸国、日本の経済成長率は軒並みマイナスに転じ、最近は盛り返してきた傾向もあるが、依然として低成長状態は続き、先が見えない閉塞した状況である。その一方中国は、若干落ち込みはしたものの、2008年、2009年ともにプラス成長を記録し、その勢いは衰えることを知らない。
その背景の詳細は割愛するが、1978年の改革開放以後の都市住民の増加と、可処分所得の上昇が大きなファクターとなっているようだ。貧富の差は未だ歴...