本レポートではAmazon.comおよびAmazon.co.jpのマーケティング戦略について考察し、これからのオンライン通信販売のマーケティングアプローチのあり方について考えてみたい。
(中略)
Amazonの成功の大きな要因として、マーケティングと顧客マネジメントに必要十分なコストをかけていることがあげられる。多くの通販サイトが、注文〜配送システムを作るだけで満足してしまっていたのに対し、Amazonは立ち上げ段階から入念にショップをデザインし、ブランドイメージの確立と固定客の獲得に成功した。これは実店舗では多くのチェーン店でもようやく取り入れられ始めたPOSシステムに似ており、これからもますます重要になっていく手法だと考えられる。
同社の成功は、他のインターネット通販サイトにも多大な影響を与えている。顧客マネジメントを利用した商品展開はヤフー・ショッピングなど他の通販サイトでも積極的に取り入れられている。今後はこのようなシステムの構築は必須となっていくだろう。
しかし、Amazon型の大規模かつ充実したシステムを構築するには莫大なコストがかかるのは明白である。よって、今後のオンライン通販の形態としては、1)一般的な消費財を販売する大規模サイト、2)特定の付加価値のある商品を販売する専門店サイト、の二極化が少なからず進展していくだろう。
『Amazon.com のインターネット書籍通販戦略』
1.はじめに
ADSL が実用化された 2001 年ころから、インターネットの WWW を利用してのオンラ
イン通信販売が徐々にユーザーに浸透し始めてきた。しかし、どの業態も一律に成功して
いるとは言いがたい。オンラインショップを運営している企業の多くが、通販は副次的な
もので、実際の売り上げは実店舗によるものだと言う。
そのような中、米国のオンライン書籍通信販売最大手、 Amazon.com は従来に無いマー
ケティングアプローチで成功し、2003 年度は通年での黒字化を達成している
( http://media.corporate-ir.net/media_files/irol/97/97664/news/q4-2003/Q3-04release.pd
f)。Amazon.com は Amazon.co.jpとして日本でもサービスを提供しており、米国同様日本
のオンライン書店の最大手として注目されている。
そこで本レポートでは Amazon.com および Amazon.co.jpのマーケティング戦略につい
て考察し、...