今実験は、濃度の異なる数種類のスクロース水溶液の凝固点降下度からスクロースの分子量を求めることを目的とする。
以下にこの試料の概要を示す。
[緒言]
●凝固点降下とは
●分子量測定について
[実験]
●実験操作
[結果と考察]
●冷却曲線の提示
●実験の精度が分子量測定に与える影響についての考察
[参考文献]
[緒言]
液体を冷却していくと、ある温度で固体に変化する。この現象を凝固と呼び、液体が凝固を開始してから完全に固体になるまでの間、温度は一定となる。このときの温度を凝固点と呼び、純物質の凝固点の値は、その物質の融点と等しい1)。
しかし、溶液が理想希薄溶液であるときはこの限りではない。理想希薄溶液とは、きわめて濃度が薄く、理想溶液として挙動する溶液のことである。
理想溶液とは、分子の大きさが同程度、分子間力が類似である溶媒、溶質から成り、混合熱の発生などによるエネルギー変化、混合による体積変化が生じず、均一な溶液を形成する溶液のことである。ほとんどの溶液は十分希薄にすることによって理想溶液としての挙動を示す。
理想希薄溶液は、溶質の粒子数に共通した依存性を持つが、溶質の性質に依存することのない、束一的性質を持つ。希薄溶液の束一的性質とは、蒸気圧降下、浸透圧、沸点上昇、凝固点降下の4つであり、これらの性質は主に物質の分子量測定に用いられる2),3),4)。
溶液が理想希薄溶液であり、溶質と溶媒が化学反応を起こさず固溶体を形成しないとき、その溶液の凝固点は、純溶媒の凝固点よりも必ず低...