国文学史Ⅱ-②

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    国文学史

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     雑誌『白樺』は、明治四十三年四月に創刊されているが、文壇の注目を集めるのは、大正二、三年以降になる。しかし、この創刊の時期に白樺派の年長の同人たちは、本格的な文学活動を初めている。彼らは、自然主義文学運動の昴揚期に文学を初め、自然主義と共に作家活動を初め、それとは異なる文学内容を交代させるかのように展開した。つまり、約十年弱の世代の差、地方出身に対する東京出身、そして中流以下の生まれ、若しくは育ち方をしたことに対して、上流・特権階級が、白樺派をこの時期に文学史上に誕生させた歴史的、社会的要因であったと言われている。彼らは世代的にも、階級的にも、自然主義作家とははっきりとした異質性を持っていたのであろう。
     そして、彼らの思想的リーダーであった武者小路実篤は、『白樺』創刊後にはトルストイズムを棄て、自己の成長を目指す強靭な自我意識を固めることで文学の出発を果たそうとしていた。それは、思想の発展というよりは、ある思想からの脱出や転向ということであったが、彼の目指す文学というものが自らの実感を生かすものに違いない、と言うことを確信し、覚悟をした上での決断だったであろう。階級的な現実に目をつ...

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