台湾民主化と中台の緊張関係
台湾大学教授楊国枢が1987年に『台湾政治論』という著作を出した。この作品の最後は「民主化のドアは開かれた。しかし、どれだけ開いているのか誰も分からない」
著作が完成した前86年、党外勢力による、初めての野党民主進歩党が結成した。かつて強人政治を続けていた蒋経国も、翌年この政治団体を認可し、49年から87年に渡って、戒厳令解除も明らかにし、国民党政権に相当な打撃を与えた。
こうした、始まったばがりの民主化への道は、どれだけ行けるのか。まだ一つ大きな未知数だと思われた。
96年に総統直接選挙の実現から、台湾自由地区の民主は国際的に注目を浴びた。台湾における中華民国政権の実態は変えず、国民党も依然として政権を握っていたが、動員勘乱条例などの戦時法令の撤廃により、台湾は自由な国へ変わった。
更に、一番大きな変貌は、91年から92年までに、万年国会と呼ばれた国民大会と立法院の全面改選が成功した。そのため、96年3月の総統直接選挙の実現にも及ぼした。
国民党の権威体制はこの民主化の動きを上手くコントロールしたとはいえ、民主化が進み当初、国民党もいくつか危険...