日本国憲法の第一基本原理は、国民主権主義である。ここに、国民主権主義とは、国民をもって、すべての国家権力の究極の淵源とする原理をいい、この原理は民主主義の最も重要な基本原理である。そのため、「すべての国家権力は、国民
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日本国憲法の第一基本原理は、国民主権主義である。ここに、国民主権主義とは、国民をもって、すべての国家権力の究極の淵源とする原理をいい、この原理は民主主義の最も重要な基本原理である。そのため、「すべての国家権力は、国民から発する」ということが、何よりも最初に確立されなければならない。ここで出てくる国民とは何なのであろうか。
国家は国民から成り立っているが、「国民」という場合、憲法においては三つの意味に用いられている。第一に、広い意味における国民、すなわち、日本の国籍をもつ者をいい、国家の構成要素としての、あるいは全体としての国民である。この意味では、一般国民中の未成年者も、また、特殊の身分をもつ天皇・皇族も国民である。したがって、ここにいう「国民」とは、明示的な国家意志を形成表示する国家機関・統治機関ではなく、憲法前文及び第1条、第7条、第9条、第10条、第96条第2項にいう「日本国民」あるいは「国民」が、この意味での国民である。第二に主権者としての国民であり、それにもとづき、積極的に統治を行うために組織された国民である。この場合の国民は、いわゆる「選挙民団」であって...