行政法 営業許可の取消し

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    資料紹介

    1 本問において、営業許可は有効に成立した授益的行政行為である。では、本件の取消しは、行政法学でいう職権取消にあたるのか、撤回にあたるのかが問題となる。
     この点、職権取消しとは、行政行為が違法・不当の瑕疵を有する場合の行政庁の事後的な手当てであるのに対し、撤回は、瑕疵なく成立した行政行為について、その後発生した公益上の必要性や行政庁の公益判断の変化を理由に、その行政行為の効力を失わせることをいう。
     これを本件についてみると、原処分に瑕疵があるなどは問題になっておらず、撤回に当たると解する。
    2 次に、本件では、食品衛生法上は許可処分の成立、存続につき有効であるにもかかわらず、食品衛生法以外の目的で、かつ法的根拠なく許可の撤回をしており、授益的行政行為の撤回が認められるかが問題となる。
     この点、食品衛生法の条文をみると、55条、56条の許可の取消しに関する規定がある。これらによれば、営業許可の取消しは、衛生上の観点からの違反があった場合、許可後に人的な欠格事由に該当するようになった場合、施設が基準に違反している場合などに限って認められている。これらは、いずれも原処分後に生じた事由を理由とする取消しであり、撤回に当たる。
     これを本件の許可の取消しについてみると、これらの規定には該当しない。よって、本件許可の取消しは違法である。
    3 では、仮に食品衛生法に55条・56条のような撤回の根拠規定がなかった場合はいかに解するか。
     この点、授益的行政行為の撤回であっても、個別の法律の根拠は必要ではないという見解によれば、以下のように解される。
     まず、処分要件の事後的消滅や許可を得た者の義務違反は撤回事由になる。しかし、本件がこのような場合でないことは明らかである。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    下記の事案について、行政法上の問題点を論ぜよ。
    1.Xは食品衛生法52条による営業の許可を受けてレストランを営業していた。
    2.店の場所が中学校の校門の近くであり、教育上このましくないとの陳情があった。
    3.Y県知事はこの陳情の趣旨に従い、Xに対する営業の許可を取り消した。
    1 本問において、営業許可は有効に成立した授益的行政行為である。では、本件の取消しは、行政法学でいう職権取消にあたるのか、撤回にあたるのかが問題となる。
      この点、職権取消しとは、行政行為が違法・不当の瑕疵を有する場合の行政庁の事後的な手当てであるのに対し、撤回は、瑕疵なく成立した行政行為について、その後発生した公益上の必要性や行政庁の公益判断の変化を理由に、その行政行為の効力を失わせることをいう。
      これを本件についてみると、原処分に瑕疵があるなどは問題になっておらず、撤回に当たると解する。
    2 次に、本件では、食品衛生法上は許可処分の成立、存続につき有効であるにもかかわらず、食品衛生法以外の目的で、かつ法的根拠なく許可の撤回をしており、授益的行政行為の撤回が認められるかが問題となる。
      この点、食品衛生法...

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