第1章 学説
1.日本の行政法とその救済法
もし、あなたが道を歩いていて車にはねられたのなら、運転手を訴えることができる。ではもし野原を歩いていて野犬に噛まれ重傷を負ったり、狂犬病にかかってしまったら?まさか犬を訴えようなんて思う人はいないはずだ。そこで「国がきちんと野犬を取り締まっていれば、こんなことは起こらない」と「国を訴えることができるのでは」を考えると思う。
その通り、国を訴えることができるのだ。国が責任をもって行わなければならないことはたくさんある。予防接種もまた国の行政指導に基づいて地方公共団体が実施しているものだ。
国だけでなく、国以外の行政主体である公共団体(以下、国と表記)もひっくるめて行政であり、その組織に関する法(行政組織法)、活動に関する法(行政作用法)、それらをめぐる法的紛争に関する法(行政救済法)の3つを扱っているのが行政法である。
2.日本における国家補償について
多くの国がそうあるように、日本でも行政活動というものは民間の活動に対して優先が認められ、その行為は国民の権利・義務を変動させる原因行為であることがしばしばである。そのため行政に携わる者の恣意によって行われてはならず、ルールに従う必要がある。それでも行政に携わるのは神様で無く人間なのだから間違いも起こる。現行法が施行される以前は国の不法な活動のために生じた国民の損害救済はおろそかにされていたことも多かった。しかし時代とともに国民の権利意識は高まり、現在は現行法により国民の被害救済は補償される。その現行法である行政争訟法と国家補償法を例に挙げる。
? 行政争訟法
行政不服審査法および行政事件訴訟法は、被害を発生させた「原因そのもの」を取り除く法律で、行政上の処分、
はじめに
予防接種に行くと、「最近熱を出したことがありませんか?」「今日の体調はどうですか?」などと聞かれる。予防接種の近日に熱を出したり、当日の体調が良くないと、予防接種は副作用を起こす可能性が高くなるので、それを予防するために聞いているのだ。しかし予診をしたうえで、副作用が起こってしまったらどうであろうか?誰が被害者を救済してくれるのだろうか。
実はそのことをきちんと定めた法律がない。その問題点をとりあげ、予防接種による副作用や後遺症害は国にどのような責任があるかを調べる。「予防接種によって、自分の子供が被害に遭わないようにするにはどうすれば良いか、万が一遭ったときにでも泣き寝入りしたくない」と思い、このテーマを選んだ。
目次
第1章 学説
1.日本の行政法とその救済法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.日本における国家補償について・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
①行政争訟法
②国家補償法とその体系
A.国家賠償(a公権力責任 b営造物責任)・・・・・・・・・・・・4
B.損失補償 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...