国文学講義Ⅴ(近代)①

閲覧数1,771
ダウンロード数1
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    タグ

    日本戦争自然人間言葉運動表現明治和歌伝統

    代表キーワード

    国文学講義

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」
    これは、明治二十八(一八九五)年に正岡子規が奈良で作った有名な俳句である。「柿を食べていると、法隆寺の鐘がなった。」という意味だが、これだけの言葉で、夕方ののどかな情景がイメージできてしまうから不思議だ。彼らしく自然の象徴物である「柿」がちゃんと引用されている。本人の随筆『くだもの』の中で説明されているが、かつての古典和歌集では「柿」が扱われることがなく、ましてや「柿」と「奈良(法隆寺)」がセットになることもなかったようである。子規は柿が好物のようで、彼が俳句を研究する上で考案した俳句分類法の中でも、親友の夏目漱石を「漱石君=柿」と繋げているところが面白い。よほど仲が良かったのであろう。これだけで判断できる。
    「糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな」
    これも自然界の象徴である「糸瓜」が句の中で生きている。子規が咳に苦しんでいる様子も伺える。自分のことを「仏」と言っているところは、自分の死が自然と迫ってきていることをうまく表現している。「なんともない自然の情景の横に、死にそうな自分がここにいるよ。」と言っているかのようである。これを“すがすがしい気持ちで死を客観視...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。