現代社会は非常に様々なリスクが我々の周りに満ち溢れている。例えば、日本でも多くの人が集まるところでの大規模テロはいつ発生してもおかしくない状況であるし、先日は一旦輸入が再開されたアメリカ産牛肉から危険部位が見つかったということで再び輸入停止となってしまった。そこでまずウルリッヒ・ベックの「世界リスク社会論」に書かれていた、彼の社会学理論の中心でもある「リスク」ないし「リスク社会」といったことについて考えていきたいと思う。ベックによればリスク社会とは、前近代、産業化を中心とした第一の近代化の後に訪れ、第一の近代化が行き詰まり、環境問題の解決などの第一の近代化を反省する必要が生まれ、リスクが政治的・社会学的対立の焦点となる段階に至る「第二の近代化」と呼ばれる時代において、一方で人々は身分や地域の拘束から解き放たれるが、それによって行為の拠り所となるような規範が失われてしまい、すべての責任やリスクは個人に降りかかるようになる、といった近代化の変容によってリスクの制御が不可能になることにより訪れるとされる。
ウルリッヒ・ベックを読んで
現代社会は非常に様々なリスクが我々の周りに満ち溢れている。例えば、日本でも多くの人が集まるところでの大規模テロはいつ発生してもおかしくない状況であるし、先日は一旦輸入が再開されたアメリカ産牛肉から危険部位が見つかったということで再び輸入停止となってしまった。そこでまずウルリッヒ・ベックの「世界リスク社会論」に書かれていた、彼の社会学理論の中心でもある「リスク」ないし「リスク社会」といったことについて考えていきたいと思う。ベックによればリスク社会とは、前近代、産業化を中心とした第一の近代化の後に訪れ、第一の近代化が行き詰まり、環境問題の解決などの第一の近代化を反省する必要が生まれ、リスクが政治的・社会学的対立の焦点となる段階に至る「第二の近代化」と呼ばれる時代において、一方で人々は身分や地域の拘束から解き放たれるが、それによって行為の拠り所となるような規範が失われてしまい、すべての責任やリスクは個人に降りかかるようになる、といった近代化の変容によってリスクの制御が不可能になることにより訪れるとされる。そしてこの「リスク」とはベックによれば、そのようなリスクは...