橈骨神経 髄節 上腕部 上腕三頭筋 C6~8 ①外側頭 ①’長頭 ①”内側頭 上腕筋 C5~6 腕橈骨筋 C5~6 長橈側手根伸筋 C6~7 肘筋 C6~8 前腕部 A橈骨神経浅枝 B橈骨神経深枝 短橈側手根伸筋 C7~8 指伸筋 C7~8 小指伸筋 C7~8 尺側手根伸筋 C7~8 回外筋 C6~7 長母指外転筋 C7~8 短母指伸筋 C7~8 長母指伸筋 C7~8 示指伸筋 C7~8 尺骨神経 髄節 尺側手根屈筋 C6~7 深指屈筋(尺側2本) C8~T1 浅枝(主に感覚枝) 短掌筋 C8~T1 深枝 小指外転筋 C8~T1 小指対立筋 C8~T1 小指屈筋 C8~T1 背側骨間筋(第Ⅰ~Ⅳ) C8~T1 掌側骨間筋(第Ⅰ~Ⅲ) C8~T1 母指内転筋 C8~T1 短母指屈筋 C8~T1 第Ⅲ,Ⅳ虫様筋 C8~T1
正中神経 髄節 手外来筋 円回内筋 C6~7 長掌筋 C7~8 橈側手根屈筋 C7~T1 深指屈筋(橈側2本) C8~T1 浅指屈筋 C8~T1 長母指屈筋 C8~T1 方形回内筋 C7~8 手内在筋 短母指外転筋 C8~T1 母指対立筋 C8~T1 短母指屈筋 C8~T1 第Ⅰ,Ⅱ虫様筋 C8~T1
腋窩・筋皮神経 髄節 A腕神経叢 外側神経束 後神経束 内側神経束 B腋窩神経 三角筋 C5~6 小円筋 C5~6 C筋皮神経 烏口腕筋 C5~7 上腕二頭筋(短頭) C5~6 上腕二頭筋(長頭) C5~6 上腕筋 C5~6 外側前腕筋皮神経(前枝) 外側前腕筋皮神経(後枝)
坐骨神経 髄節 半腱様筋 L5~S2 半膜様筋 L5~S2 大腿二頭筋長頭 L5~S2 大腿二頭筋短頭 L5~S2
大腿神経 髄節 大腰筋
小腰筋 L2~4
L1 腸骨筋 L2~3 縫工筋 L2~3 恥骨筋 L2~3 大腿直筋 L2~4 内側広筋 L2~4 外側広筋 L2~4 中間広筋 L2~4 閉鎖神経 後枝 前枝 外閉鎖筋 L3~4 短内転筋 L2.3~4 大内転筋 L2~4 長内転筋 L2.3~4 薄筋 L2~3 皮枝 伏在神経枝
腓骨神経 髄節 総腓骨神経 深腓骨神経 前脛骨筋 L4-L5 長指伸筋 L5-S1 長母指伸筋 L5,L4-S1 第3腓骨筋 L5-S1 短指伸筋 L5-S1 浅腓骨神経 長腓骨筋 L5-S1 短腓骨筋 L5-S1 腓腹神経
腓腹筋 S1-S2 膝窩筋 L4-S1 足底筋 S1-S2 ヒラメ筋 S1-S2 後脛骨筋 L4-L5 長指屈筋 L5-S1 長母指屈筋 L5-S2 腓腹神経 内側足底神経 外側足底神経
脛骨神経 髄節
足底神経 A内側足底神経 短指屈筋 S1~2 母指外転筋 S1~2 短母指屈筋 S1~2 B外側足底神経 小指外転筋 S1~3 短小指屈筋 S2~3 小指対立筋 S1~2 骨間筋 S2~3 骨間筋 S2~3 虫様筋 第1
第2.3.4 L5~S1
S2~3 C腓腹神経
●Seddonの分類
・Neuraplaxia:(一過性)髄鞘の損傷
神経幹の連続性は保たれ、Waller変性をまったく生じていないのに、筋肉や知覚の麻痺が発生しているもので、組織学的には何ら変化の見られない一時的な麻痺とされている。3日で崩壊。数日あるいは数週で自然治癒する。100%回復
・Axonotmesis:(軸索断裂)軸索の損傷
軸索と髄鞘が損傷され変性に陥るが、シュワン細胞や神経鞘は連続性を保ち、なんら変化を生じていない。損傷部の末梢はWaller変性を生じる。生体の再生現症により、再生軸索の伸びと共に神経機能は回復し治癒する。1週間で崩壊。3週間でWaller変性。50%回復。
・Neurotmesis:(神経断裂)被膜の損傷
神経を構成する全組織が損傷され、組織学的に連続性が絶たれ、損傷部の末梢はWaller変性を生じている。神経幹が断裂しているものはもちろん、連続性があっても、再生軸索の進行を妨げる神経内の瘢痕組織を切除して、神経縫合あるいは神経移植術を行なう必要がある。
●Waller変性
神経線維が損傷され、軸索の連続性がなくなったときに生ずる。損傷部の遠位の変化をWaller変性という。神経の変性はおこらない。
●神経の再生
・解剖学的再生
・機能的再生
・再生軸索の伸長
●破格と吻合
破格:一時的な解剖学的神経支配と異なる神経支配を受けている。通常支配されていない神経から支配されている。母指球筋や第1背側骨間筋など手内筋でしばしば認められ、正中神経、尺骨神経損傷では注意を要する。
吻合:他の神経からの分枝を受ける。
●治療
保存的療法:外傷のうち、創の治癒した病態不明の神経損傷、閉鎖性神経損傷(圧迫・骨折・脱臼・靱帯損傷に合併したもの)、注射麻痺などは保存的に経過を見る。
装具療法
筋の過伸展の予防・関節の不良肢位拘縮の予防・手足の機能的良肢位に用いられる。
運動療法
一日数回、できれば温浴の中で15~30分間行なわせる。ゴム・スプリングなどを使った機能訓練も有用。
理学療法
水治療・温熱療法・低周波治療・マッサージ。
薬物療法
ビタミン12製剤は投与すべきである。しかし、修復前の神経断裂例に投与しても無駄。この場合神経縫合術直後から投与するのが有鈎。
手術療法:損傷の原因・損傷後の経過・局所症状の詳細な検索に加え、X線などの画像診断、電気生理学的検査から病態をとらえ手術適応を決定する。運動や知覚で特に重要な部位での部分麻痺や有痛状態の症例では手術的展開が必要である。
・神経剥離術
・神経縫合術
・神経移植術
・他家神経移植
・神経束間神経移植法
③機能再建術
・腱移行術
・関節制動術
腱固定術
関節包縫縮術
・関節固定術
・装具の使用
・遊里筋肉移植
④知覚機能再建
・神経縫合術
・神経剥離術
・遊離神経移行術
●各神経の知覚領野
●末梢神経損傷の原因
絞扼神経障害 ・胸郭出口・梨状筋・肘部管・足根・回外筋・円回内筋症候群
胸郭出口症候群
腕神経叢と鎖骨下動脈が絞扼を受ける。症状は手指・腕の痺れや霊感、脱力感、頚部・肩・肩甲間部・前胸部のうずくような痛みが生じる。
テスト法:Morley test・Adsin test・Wright test・Eden test
手根管症候群:正中神経の絞扼。
手根骨と横手根靭帯により形成される狭い手根管を通過するが、この部での紋扼性神経障害を手根管症候群と称す。母指から環指橈側にかけてのしびれ、知覚障害と母指球の萎縮が生じる。日常診療上、最もよく遭遇する紋扼性神経障害である。
テスト法:Phalenテスト
円回内筋症候群:正中神経の絞扼。
正中神経の高位不全マヒが出現する。前腕屈側に疼痛があり、前腕回内運動の反復によって増悪する。Tinel徴候が円回内筋の近位に存在する。
前骨間神経症候群:正中神経の絞扼障害。
長母指屈筋、示指の浅指屈筋、方形回内筋をしはいするためこれらの筋に麻痺が起こる。感覚障害はみられない。母指IP関節と示指DIP関節の屈曲が不可能になり、腱の皮下断裂との鑑別を要する。
涙のしずくになる。
肘部管症候群:尺骨神経の絞扼。
尺骨神経が肘内側で関節より少し末梢にある尺側手根屈筋下の肘部管を通過する際生じる紋扼性神経障害で、小指と環指尺側にかけての感覚障害と、鷲手変形、骨間筋萎縮、握力低下を認める。
臨床所見:Tinel徴候陽性、尺骨神経領域の知覚障害、支配筋の筋萎縮
ギヨン管症候群:尺骨神経の絞扼。
尺骨神経がギヨン管を通過する部分で絞扼を受ける。症状は小指、環指のしびれや疼痛、鉤爪指変形、指の巧緻動作障害である。感覚障害は主に掌側尺側のみに出現。手背部への感覚枝はギヨン管の近位で分枝するため、手背部の感覚障害は認めない。
後骨間神経麻痺・回外筋症候群:橈骨神経の絞扼。
回外筋の線維性アーチ(Frohse arcade)、ガングリオンや脱臼した橈骨頭などによる圧迫や神経炎である。手関節の背屈はできるが、母指の伸展外転と示指・中指・環指・小指のMP関節の伸展が不能である下垂指変形の低位麻痺を呈する。
梨状筋症候群:坐骨神経の絞扼。
坐骨神経が生理的狭窄部位である梨状筋部で圧迫を受けるが、腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別診断が必要とされる。この部の圧痛と放散痛、下肢の内旋で増悪をみる特徴を有する。
足根管症候群:脛骨神経の絞扼。
脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受け、足底部から足趾にかけての放散痛および足根管部痛を訴える。足底部に知覚障害が残存する。
●鷲手の説明
鷲手は第4、5指に出現する尺骨神経麻痺である。尺骨神経が支配する筋として虫様筋、骨間筋、深指屈筋(尺側2本)がある。虫様筋・骨間筋はextensor hoodを引っ張りPIP・DIP関節を伸展させる働きを持つ。環指と示指では虫様筋と骨間筋の麻痺に加えて、MP関節の過伸展により指伸筋腱の伸展力が末梢に伝わらなくなり、IP関節の自動伸展運動は不可能である。
正中神経・尺骨神経の合併損傷として第1~5指すべて鷲手になる。母指のIP関節の伸展は、母指対立筋を除く母指球筋が行なう。これらがextensor hoodを引っ張り指を伸展する。長短母指伸筋は橈骨神経のため麻痺を受けてない。全ての内在筋が麻痺するため、MP関節は過伸展、IP関節は屈曲する。
腋窩・筋皮神経
橈骨神経
尺骨神経
正中神経
脛骨神経
坐骨神経
大腿神経・閉鎖神経
脛骨神経
腓骨神経
足底神経