『徒然草』第七段、第五十一段、第六十段、第七十四段、第九十二段、第百六段、第百五十五段を読み、そこに共通する作者の考えを論ぜよ。
まずは徒然草全体に流れる吉田兼好の価値観について考えてみたい。吉田兼好は世俗の欲について否定している。徒然草を読んでいると、名誉や金銭を追うことは愚かであると述べた段がいくつもある。財産とは害や災いを招く元だから山に捨ててしまえとまで書いてある。名誉について、高い位を望むのは、利益を求める次におろかであると言っている。
次に吉田兼好は財産を持たず、質素な生活をすることが素晴らしいとも言っている。財産は災いの元であるから生活するお金さえあればそれでいいという。
そして時間の大切さについても吉田兼好は深く考えている。ただ時間の使い方についても、お金や名誉のために忙しく走り回るのではなく、自分を見つめるため、そして一瞬一瞬を大切に生きることの大切さについて教えている。
では、第七段、第五十一段、第六十段、第七十四段、第九十二段、第百六段、第百五十五段を読みながら、そこに共通する作者の考えについて考えてみる。
第七段では、『生』が1つのテーマになっている。...