「わが国の教育の目的について論述しなさい」
人間は、持って生まれた素質や能力を基盤とした中で、周囲の環境から影響を受け、反応しながら発達・成長していく。発達・成長するにあたって、必要となるものが「目的のある教育」である。
人間の素質や能力は潜在的であり、何も意識しなくとも、それは長い時間をかけて次第に引き出されてくる。しかし、何の意識も持たずに日々を過ごしているのでは、知識や技能などは身につかず、有意義な成長は期待できない。たとえば親や教師、本人が「こんな風な人間になってもらいたい・なりたい」という、望ましい方向、つまり目的を掲げることで、人はそれを目指してより良くなろうと努力するのである。目的のために努力することが、人の発達・成長に大きな影響を与えるといえる。
今日の教育の目的は、人間の成長・発達をより良い方向へ導くために、様々な変遷をとげてきた。
1.教育目的の変遷と時代背景
現在の教育基本法の教育目的は、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」である。これは平成18年に改...