はじめに、教材は児童が学習に取り組む材料であり、その教材について教師による研究の程度が学習指導の成果を大きく左右する。学習指導やその前提となる学習指導案を充実したものにするためには、指導や計画に先がけて行われる教師の教材研究が大切なのである。
教材研究には、「教材を開発し作成するために教材について研究するもの」(教材開発)と「教材の形になっているものを、授業を前提に研究するもの」(教材解釈)の2つがある。前者は、指導内容そのものを研究しそれを教材とするもので、教師の手作りの教材開発である。後者の教材研究は、すでに教材の形になっているものを指導を前提として研究するものある。教科書をはじめ副読本、教材としての読み物などのように何らかの形で児童に直接提示することができる教材を研究対象とする。前者の教材開発は、すべての教材を準備していくことが労作的に見ても不可能に近く、後者が主流となっている。次に、教材研究の進め方について5つの視点から考察したい。
1.目標の明確化と具体化
社会科は、「正しい社会認識を育て」、「公民的資質の基礎を養う」という教科目標の達成をめざす指導である。社会化の教科...