劇は同時に複数の要素、舞台上の登場人物らの台詞(言葉)や舞台の光景(衣装や動作などを含む)などが絡み合って構成されるもので
著者はまず劇について以下のように述べている。
劇は同時に複数の要素、舞台上の登場人物らの台詞(言葉)や舞台の光景(衣装や動作などを含む)などが絡み合って構成されるもので、これらの仕上がりが観客の満足度を左右するという。そしてその中でも、特に台詞は重要であるという。
著者はまず、シェイクスピアの「Hamlet」を例に挙げ、小説と劇における登場人物の性格描写の違いについて触れている。
小説中の文章(文字)を読むだけでは、いくら登場人物の喜びや情熱など、彼らの感情や心情を表す場面であっても、正確に読み取ることは難しい。読者の想像力、理解力、読解力が求められる。しかし、同じ場面が舞台上で演じられると、役者たちの動きや声などからよりはっきりとその感情を視覚と聴覚で感じることが可能だ。文章をただ読むよりも容易にその場面を理解することができる。優れた劇を見る価値はここにあるとも著者は述べている。
「Macbeth」でも同じ効果が見られている。マクベスがダンカン王を殺害する場面では、マクベスと彼の妻の動きや心情(恐怖心や罪悪感)などが劇において観客に緊迫感を与え魅了する。小説では人物の細かい心情の...