耐火構造の建造物と焼損の意義

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     ~耐火構造の建造物と「焼損」の意義~
    問題:Xは、人の現存する地下4階地上15階建てのビル地下2階にある塵芥処理場で、同所に集積された塵芥に火を放って燃え上がらせたが、右塵芥処理場が耐火構造であったため、火力により、同所の内壁表面モルタルの剥離・脱落および天井表面に吹き付けてあった石綿の損傷・剥離などの焼損を与えた。
    知識まとめ
    〈問題の所在〉
    鉄骨・鉄筋・コンクリート等の難燃性建材を使用した不燃性耐火建造物の場合、従来の独立燃焼説の基準によると、既遂とされる事態は発生しないが、建造部分の重要部分の効用が害されたり、人の生命・身体に具体的危険を生じさせたりする場合が生ずる。
     そこで、焼損という事態を経ずして、しかし、建物内に人々に現実的な危険が生じた場合、放火罪の既遂として処罰できるか。
    〈見解〉
    ・・・判例(東京地判S59/6/22など)は独立燃焼説を維持している。
    ① 新効用喪失説 ~独立燃焼説と効用喪失説の併用説~
     …建造物の種類で区別。
      (a)木造住宅の場合は独立燃焼説を用いる。
    (b)不燃性建造物については、媒介物の火力により、コンクリート壁が崩落するなど建造物の一...

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