私の親族の家がある群馬県安中市の、国指定重要無形民俗文化財「安中中宿の燈籠人形」を取り上げる。私はこの燈籠人形の太鼓の囃子に、小学生のころ参加していた経験がある。
1.燈籠人形の作り出された背景
今回取り上げる燈籠人形は、人形芝居の一種である。「看聞御記(かんもんぎょき)」や「満済准后日記(まんさいじゅんこうにっき)」の永享4年(1432年)の条に「アヤツリ燈炉(とうろ)」などとあるのが初見であるが、その実体は未だに不明である。
群馬県安中市の中宿地区に伝わる糸操燈籠人形は、地元の諏訪神社の例祭の際に行われていた農民芸能である。
笛、太鼓の囃子で「三番叟」、「俵小僧の力自慢」、「馬乗り小僧の籠抜け」、「安珍、清姫綱渡り」の4種類を演ずる。以前は、もっと多くの演目があったが、現在まで伝わっているのはこの4種類のみである。
昭和4年を最後に途絶えていたものを昭和28年に復活させた。その後、昭和40年ドイツのミュンヘン人形博物館に出品し、昭和43年には国立劇場に出演した。そして、昭和52年には国指定重要無形民俗文化財に指定された。現在は不定期に公演されている。
2.安中中宿燈籠人形の作り出...