「ソーシャルワークサービスにおける利用者主体の視点について述べなさい。」
利用者主体の視点でソーシャルワークサービスを提供するという考え方は、2000年6月に施行された社会福祉法により大きく推進されたものである。それまで生存権を基本理念として「措置」という行政行為により実施されてきた社会福祉サービスは、社会福祉法により個人の尊厳を基本理念とし、社会福祉サービスの供給・受給関係に「契約」という市場化原理が導入された。従来、行政により措置されていたサービスを受ける際、対象者は自らの意思で施設や福祉サービスの内容を自由に選択することはできなかった。ところが、社会福祉法施行後は、福祉サービスを必要とする利用者が自己決定権を持ち、またサービス利用者個人の尊厳(人権)を尊重するという形となり、社会権から自由権にもとづく転換が図られたのである。
それでは、まず利用者主体のソーシャルワークサービスの具体的な内容について考えてみる。ソーシャルワークはあくまでもサービス利用者をめぐり、利用者を中心にしてサービスが展開され、本人自らが自己の問題に気づき、自らの持つ潜在的な能力を発展させ、問題解決へと導いて...