1)自然からの解放
[1人間を取り巻く現実世界]
かつて人間の生活は現在よりも自然と密接な関係にあった。人間はまさに自然の一構成員であり、狩猟採集によって食を得、洞穴に住んだように人間の生活は自然と直接向かい合っていた。人間にとって自然が環境であり、それが現実世界そのものであった。しかし現在、わたしたちは人工物に囲まれて暮らしている。コタツ、家、道路、電車、田畑、貨幣、法律、社会制度・・・人間によってつくらた二次的な自然が人間を取り巻く環境をなしている。
人間は、自己を取り巻く現実そのものである自然に手を加え、現実を塗り変えることをもって自然からの解放を願う。現在わたしたちは二次的な自然、自然科学のもたらす技術開発によって操作可能となった限られた枠の中の世界において生活している。この現実は、それを塗り変えた人間の認識・意識の投影である。
[2自然科学]
自然科学は、技術開発と結び付くことによって人間を自然から解放するのに貢献した。自然を理解することが前提となることから事象の認識、説明に重点が置かれ、物理的・論理的に研究が展開される。時空を超えた永遠普遍の法則の探求に向かって、現実の自然現象と一致する理論が「真理」であるとされ、その構築が専らの目標となる。 (1)
科学者集団においては、その基本的前提であるパラダイムに則って研究がなされる。研究者間のパラダイム共有によって、研究の基礎部分を顧慮することなく応用問題から出発し、より効率的・専門的に研究が進められる。また同時に、パラダイムはそれを受容する科学者集団に認識の範囲や方向性を指示する。その限定された枠組みは科学者に確信をもたらし、ひたすらそれに基づく研究に没頭する環境を提供する。パラダイムを共有することによってもたらされた詳細な研究は、自然科学の発展に大きく貢献した。 (2)
「自然」
1)自然からの解放 [1人間を取り巻く現実世界]
かつて人間の生活は現在よりも自然と密接な関係にあった。人間はまさに自然の一構成員であり、狩猟採集によって食を得、洞穴に住んだように人間の生活は自然と直接向かい合っていた。人間にとって自然が環境であり、それが現実世界そのものであった。しかし現在、わたしたちは人工物に囲まれて暮らしている。コタツ、家、道路、電車、田畑、貨幣、法律、社会制度・・・人間によってつくらた二次的な自然が人間を取り巻く環境をなしている。 人間は、自己を取り巻く現実そのものである自然に手を加え、現実を塗り変えることをもって自然からの解放を願う。現在わたしたちは二次的な自然、自然科学のもたらす技術開発によって操作可能となった限られた枠の中の世界において生活している。この現実は、それを塗り変えた人間の認識・意識の投影である。
[2自然科学]
自然科学は、技術開発と結び付くことによって人間を自然から解放するのに貢献した。自然を理解することが前提となることから事象の認識、説明に重点が置かれ、物理的・論理的に研究が展開される。時空を超えた永遠普遍の法則の探求に向か...