精神保健における個別課題のとりくみについて

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     「精神保健における個別課題のとりくみについて」
    はじめに
     わが国の精神保健における個別対策は、老人性認知症対策、アルコール関連問題対策、薬物乱用防止対策、思春期精神保健対策、地域精神保健対策、司法精神保健福祉対策などがある。ここでは、アルコール関連問題対策を取り上げ、考察していく。
    1 アルコール関連問題対策について
     アルコールは、患者本人の症状として、①アルコール依存症、②肝障害などの身体疾患、③多彩な精神症状を引き起こす。さらに、④家庭内の問題、⑤深刻な社会問題などの多面的広がりを持つ。
     アルコール問題の多面性のため、患者、家族も、治療者も病気の全体を把握し、問題の本質を理解するのが困難な場合がある。そのために病気の発見治療が遅れたり、治療が不十分であったりする。また、アルコールの問題は、アルコール依存者本人をもつ家族にも精神疾患を発病させ、子どもがいれば、人格の形成に大きく影響してくる。以下には、アルコールによって起こる問題を述べていく。
    アルコール依存症
    アルコールは嗜好品だが、広い意味では依存性物質の1つである。アルコールは、ヘロインや麻薬、精神安定剤などと同様に中枢...

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