忌避権の濫用・判例を通じてその意義を知る

閲覧数2,696
ダウンロード数1
履歴確認

    • ページ数 : 7ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    適正・公平な裁判をするため、法は裁判官の任命資格を厳格に定めるとともに、その独立を保障している。しかし、具体的な事件における裁判の公正とこれに対する国民の信頼を確保するには、こうした一般的保障だけでは不十分である。
    例えば、訴訟を起こしたところ、その裁判官を行う裁判官が、一方の当事者(被告)と友人であった場合、訴えを起こした者(原告)は「公正な裁判を行ってくれるのだろうか」と不安になるはずである。さらに、原告敗訴の判決が下った場合には、判決に対する不信感を募らせることは間違いない。
    このように、担当裁判官がたまたま一方当事者や事件と特殊な関係にあるために、公正な裁判を期待しえないという場合がある。
    かかる場合にも公正な裁判を保障し、かつ公正な裁判の外観を確保するために、その裁判官を当該事件の職務の執行から排除する制度が設けられている。これが、裁判官の除斥・忌避・回避である。
    この三種類の制度は、以上のような目的を持っているという点では共通しているが、その内容は微妙に異なっている。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    訴訟上の権能の濫用(忌避権の濫用)―判例を通じてその意義を知る―
    <目次>
    一.事実の概要
    二.判決
    三.訴訟上の権能の濫用とは
    四. 除斥、忌避、回避の申立の実情
    五. 忌避権の濫用に関する判例の展開
    六. 忌避権の濫用への対処をめぐる学説の展開
    一.事実の概要
    北海道電力伊達火力発電所建設に反対するX1他66名は、建設地公有水面の埋め立て
    を免許した北海道知事を被告として、免許取消訴訟を提起した。
    第1審裁判所が弁論を終結した第13回口頭弁論期日にX1~X6 を含む原告らは、受訴
    裁判所が十分な審理を遂げず予断をもって心証を形成し弁論を終結したのは、裁判の公正
    を妨げるべき事情にあたるとして、3裁判官に対して忌避を申し立てた。しかし、申立て
    から14日後、右申立ては却下された。
    その後、裁判所の判決言渡期日の指定に対して、原告らは弁論はまだ終結していないと
    して口頭弁論期日の指定を申立てたが、とくに応答がないまま判決言渡期日を迎えた。
    同期日において、X1~X6 は、判決言渡しに先立って、受訴裁判所の訴訟指揮は、原告
    らの期日指定の申立てに応答しないなど不公...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。