『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子どもの行動について具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明しなさい。』
象徴機能とは、具体的な知覚経験や、現在そこに知覚しているものを手がかりにして、現実には今そこにないものを思い浮かべ、それに対して反応するという機能である。つまり「意味するもの」と「意味されるもの」とを区別して使うことが可能になるということである。象徴機能は、具体的にいつ頃どのようにして現れてくるのであろうか。
子どもは、1歳半から2歳にかけて表象能力を現しはじめる。今、目の前にない物事についても頭に思い浮かべ、自分で実際に行動してみなくてもその様子を頭に思い描く。つまり、具体的な知覚経験をもとに自分なりにイメージを構成し、それを利用して時・場所を変えて自分なりのやり方で活動するようになる。表象能力の出現を示す初期の活動として延滞模倣が挙げられる。たとえば、ある子どもが「ガアン…、ゴオン…」と言いながら長方形の箱を動かし、ときどき箱を止め、自分のからだの動きも止めて「プシュッ」と言ったりするなどの模倣行為である。箱を電車に見たてる活動、箱やからだを動か...