黄色ブドウ球菌は,ヒトや動物の皮膚,消化管内などの体表面に常在するグラム陽性球
菌である.通常は無害であるが,皮膚の切創や刺創などに伴う化膿症や膿痂疹,毛嚢炎,
セツ,癰,蜂巣炎などの皮膚軟部組織感染症から肺炎,腹膜炎,敗血症,髄膜炎などに至
るまで様々な重症感染症の原因となる.一方,エンテロトキシンや
TSST‐1
などの毒素を
産生するため,食中毒やトキシックショック症候群,腸炎などの原因菌ともなる.黄色ブ
ドウ球菌は,
1940
年代に工業的に量産化に成功したペニシリン
G
に,な感受
性を示し,化膿傷や肺炎などの治療に奏効した.しかし,一方,同じころペニシリナーゼ
を産生するペニ
黄色ブドウ球菌は,ヒトや動物の皮膚,消化管内などの体表面に常在するグラム陽性球
菌である.通常は無害であるが,皮膚の切創や刺創などに伴う化膿症や膿痂疹,毛嚢炎,
セツ,癰,蜂巣炎などの皮膚軟部組織感染症から肺炎,腹膜炎,敗血症,髄膜炎などに至
るまで様々な重症感染症の原因となる.一方,エンテロトキシンや TSST‐1 などの毒素を
産生するため,食中毒やトキシックショック症候群,腸炎などの原因菌ともなる.黄色ブ
ドウ球菌は,1940 年代に工業的に量産化に成功したペニシリン G に対し,当時良好な感受
性を示し,化膿傷や肺炎などの治療に奏効した.しかし,一方,同じころペニシリナーゼ
を産生する...