『「灰の水曜日」について、あるテーマを選んで論述せよ。』
テーマ「霊的浄化までの道程」
「灰の水曜日」とは、キリスト教における四旬節の第一日にあたり、この日信者は断食し、過去の罪を悔い、現世から神の許に向かわんことを祈る。
『「灰の水曜日」について、あるテーマを選んで論述せよ。』
テーマ「霊的浄化までの道程」
「灰の水曜日」とは、キリスト教における四旬節の第一日にあたり、この日信者は断食し、過去の罪を悔い、現世から神の許に向かわんことを祈る。この詩がこの儀式の形を踏襲していることは今更言うまでもない。「浄罪の詩」と呼ばれる所以はここにある。そして、この『灰の水曜日』はエリオットがアングロ・カトリシズムに回心した後に書かれたものであり、全6部で構成されている。初めの3部が2,1,3部の順に発表された後、一連の詩を作る目的で残りの3章が書かれ、まとまった形で発表されたのは、1930年である。一つの詩として、順にテーマが発展していくものではないが、第一部と第六部は言葉やリズム等に連動が見受けられ、それにより6つの詩が一つにまとまっている。全体を流れる瞑想的雰囲気と、初期の詩には見当たらない叙情性と歌うような調子に気づかされる。これにより宗教詩のスタイルを確立したといえる。
第1部では、主人公の現状が詠われている。現世の全てのものから背を向け、霊的世界を会得したいという願望、しかし、その難しさ、また、消え去った若...