電子投票について
1.はじめに
2002年2月、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」(以下「電磁記録投票法」)が施行された。これは、公職選挙法の特例であり、地方自治体の条例で定めることにより、電磁的記録式投票機を用いた投票を行うことができるものである。これを受けて、2002年6月23日に、岡山県新見市で、初めて電子投票が実施された。
電子投票は、紙での投票と比べると、開票に要する時間の大幅な短縮、費用の削減、遠隔投票が可能になるなどの利点があり、今までは技術的な問題から不可能とされていた直接民主政を可能とする契機としての役割も期待されている。それにもかかわらず、新見市の電子投票実施後、我が国で実施された電子投票は、約10例(2005年現在)にすぎない。このように電子投票の普及が足踏みしていることの要因は、電子投票の障害が絶えず、電子投票システムの脆弱性が明らかになったり、無効票が大量に発生するなど電子投票の信頼性を疑わせるような事例が発生している点にある。
そこで本レポートでは、電子投票制度の本質について確認す...