この事例では債権者(国)の差押債権と第三債務者(銀行)による相殺援用が対立しているが、債権者平等の原則から片方に絶対的優位性を認めることはできず、公平に取り扱うことが要請される。この2つを調整しようとしているのが民法511条であると言える。
民法511条には「支払の差止めを受けた第三債務者は、その“後”に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とあり、差押よりあとに取得した債権をもって被差押債権との相殺を主張することは認められない。このことから、一応差押と相殺に関して利益調整がなされていると考えられる。そこでこの条文を反対解釈すると、支払の差止めを受ける前から有していた債権をもっての相殺はできるということになるが、ここで問題となるのが、511条の文言を無制限に反対解釈をしてもいいのだろうかということである。
そこで学説上、おおまかに分けて制限説と無制限説が主張されている。
差押と相殺の学説について
この事例では債権者(国)の差押債権と第三債務者(銀行)による相殺援用が対立しているが、債権者平等の原則から片方に絶対的優位性を認めることはできず、公平に取り扱うことが要請される。この2つを調整しようとしているのが民法511条であると言える。
民法511条には「支払の差止めを受けた第三債務者は、その“後”に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とあり、差押よりあとに取得した債権をもって被差押債権との相殺を主張することは認められない。このことから、一応差押と相殺に関して利益調整がなされていると考えられる。そこでこの条文を反対解釈すると、支...