現在中国の経済は、日本はもはや望むべくもないような著しい成長を続けており、世界の注目を浴びている。またそれに伴い中国の国際社会における発言力も年々高まっている。今後20年で世界の中心は、現在のアメリカの一極集中形から、現在人口も豊富で成長している中国やインド、統一が進んでいるEU圏を含めた、多極化に向かって進んでいくとする専門家も多い。このような注目される中国を扱った数々の書籍の中で、「中国農村崩壊」と大きく銘打った本書は一際目にとまる。
本書は、中国の人口の多数を占める農民の生活の実情を、地方の一書記官が暴露したものである。その内情は、高成長が謳われる中国社会からは想像もできないような、文中にあるように中国の沿岸部と内陸部は違う国であるというのも納得できるような、悲惨なものであった。
それをひとことで表そうとすると、働けば働くほど貧しくなるという言葉で表せるだろう。この言葉は一見矛盾であるように思えるが、農民の貧困の問題は大体が制度上の問題に帰することができるということを実に的確に表しているようである。
『中国農村崩壊-農民が田を捨てるとき』を読んで
現在中国の経済は、日本はもはや望むべくもないような著しい成長を続けており、世界の注目を浴びている。またそれに伴い中国の国際社会における発言力も年々高まっている。今後20年で世界の中心は、現在のアメリカの一極集中形から、現在人口も豊富で成長している中国やインド、統一が進んでいるEU圏を含めた、多極化に向かって進んでいくとする専門家も多い。このような注目される中国を扱った数々の書籍の中で、「中国農村崩壊」と大きく銘打った本書は一際目にとまる。
本書は、中国の人口の多数を占める農民の生活の実情を、地方の一書記官が暴露したものである。その内情は、高成長が謳われる中国社会からは想像もできないような、文中にあるように中国の沿岸部と内陸部は違う国であるというのも納得できるような、悲惨なものであった。
それをひとことで表そうとすると、働けば働くほど貧しくなるという言葉で表せるだろう。この言葉は一見矛盾であるように思えるが、農民の貧困の問題は大体が制度上の問題に帰することができるということを実に的確に表しているようである。
貧困というものにも二種類...