「わび・さび」-茶の湯から学ぶ日本文化のあり方-
「わび・さびとは何か?」そう聞かれて、すぐさま言葉を濁さず答えられる現代日本人は一握りもいるだろうか。少なくとも私は、答えられなかった。こんな私たちは自信をもって日本人であることを誇れるだろうかと疑問に思うことがある。フレーズとしてはよく聞くこの「わび・さび」だが、私たちはほとんど本質的意味を理解してはいない。ただ、なんとなく「わび・さびが大切だ」といった全体的雰囲気で日本を理解したつもりでいるだけである。それは、その質問を聞かれることもほとんどなく、知っている必要もないと思っているからだ。しかし、私はロンドンに留学したとき外国人と触れる機会がたくさんあり、この質問を何人かにされた。また、イギリスのテレビ番組でイギリス人の司会者が日本を訪れ、「わび・さびとは何か?」と日本人にインタビューしていく番組が放送されていた。だいたいの日本人は返答に困って「日本のこころですね。」などと答えていた。この質問をされて答えられなかったインタビューされた日本人は自分をみているようでとても恥ずかしかった。国際文化交流学科だからという訳ではなく、これからの...