ストレス社会といわれる現代において、最もかかりやすい心の病のひとつとして抑うつが挙げられる。抑うつは、我々の身近に存在しており、決して他人事ではない、精神的な病なのである。様々な調査では、うつ病の障害有病率はおよそ10%程度であり、10人に一人が一生のうち一回以上うつ病の診断基準を満たす状態になったことがあると言えるそして、最近では、重篤な抑うつよりも、むしろ軽症の抑うつが増加していると言われており、通常の生活を送れないほどではない軽度の抑うつ状態で生活している人が少なからず存在すると考えられる。軽度の抑うつ状態も長期にわたると、重篤な抑うつとなる可能性があり、抑うつの予防・対策を怠ることは、我々の生活に大きく影響することになる。さらに、抑うつは青年期に通有し、青年期の抑うつは他の年齢層とは異なって、若者の実存を大きく揺り動かすと言われている。
坂本真士氏(1998)によると、抑うつには、(a)気分症状としての抑うつ、(b)症状のまとまりとしての抑うつ、(c)疾病単位としての抑うつという、3つの種類が存在する。(a)気分症状としての抑うつとは、滅入った、悲しくなった、憂うつになった、...