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1 問題
次の回路の伝達関数を求めよ。また、ゲイン曲線、位相曲線を
描け。
Fig.1 2次ローパスフィルター回路
2 解法
まず、Fig.1の回路方程式を立てるため、各経路における電流を
変数 I12, I23(I35), I24(I46) (suffixが各経路をあらわしている)と
するとキルヒホッフの第一法則、第二法則を用いて
I12 = I23 + I24 (1)
Vin R1I12 R2I23
1
jωC2
I23 = 0 (pass : 1235) (2)
Vin R1I12
1
jωC1
I24 = Vout (pass : 1246) (3)
また、imaginary shortを用いて
Vout =
1
jωC2
I23 (4)
Vin R1I12
1
jωC1
I24 =
1
jωC2
I23 (5)
と表すことができる。
式 (1)~(4)を用いて、伝達関数を求めることを考える。最終的
には、Vout/Vin が抵抗、コンデンサ、周波数の関数で表せれば良
いので、式(1),(2),(3)を用いて、必要な電流を求める。そして、求
めた電流を式 (
回路方程式による伝達関数の導出
―2次ローパスフィルター―
増成伸一
平成 21 年 1 月 26 日
1
問題
上式を次のように表す。
AI = B
次の回路の伝達関数を求めよ。また、ゲイン曲線、位相曲線を
(6)
I23 のみを求めればよいので、クラメルの式を使う。そのため
描け。
に、まず |A| を求めると
|A|
=
1
R1
−1
1
R2 + jωC
2
−1
0
R1
0
1
jωC1
1
1
ここで、 jωC
= α1 , jωC
= α2 とすると
1
2
|A|=
−1
−1
R1
R1
R2 + α2
0
0
α1
第 3 列で展開すると、
Fig.1 2 次ローパスフィルター回路
|A| = −
2
1
解法
R1
R 2 + α2
R1
0
+ α1
1
−1
R1
R2 + α2
|A| = −(−R1 (R2 + α2 ) + α1 (R2 + α2 + R1 )
(7)
まず、Fig.1 の回路方程式を立てるため、各経路における電流を
= R1 R2 + R1 α2 + α1 R2 + α1 α2 + R1 α1
(8)
変数 I12 , I23 (I35 ), I24 (I46 ) (suffix が各経路をあらわしている) と
= α1 α2 + R1 (α1 + α2 ) + R2 α1 + R1 R2
(9)
するとキルヒホッフの第一法則、第二法則を用いて
クラメルの式より、
I12 = I23 + I24
1
Vin − R1 I12 − R2 I23 −
I23 = 0
(pass : 1235)
jωC2
1
Vin − R1 I12 −
I24 = Vout (pass : 1246)
jωC1
1
|A|I23 = R1
R1
(1)
(2)
1
I23
jωC2
1
1
Vin − R1 I12 −
I24 =
I23
jωC1
jωC2
1
0
−1
R1
R1
Vin
Vin − Vout
0
α1
(5)
と表すことができる。
0
α1
R1
Vin
R1
Vin − Vout
= α1 Vin − R1 (Vin − Vout ) + R1 Vin
(10)
= α1 Vin + R1 Vout
(11)
=
Vin
0
Vin − Vout
α1
−
したがって、
|A|I23 = α1 Vin + R1 Vout
式 (1)〜(4) を用いて、伝達関数を求めることを考える。最終的
には、Vout /Vin が抵抗、コンデンサ、周波数の関数で表せれば良
いので、式 (1),(2),(3) を用いて、必要な電流を求める。そして、求
めた電流を式 (4) に代入して伝達関数を求める。
式 (1),(2),(3) を行列式で表すと
1
−1
−1
R1
1
R2 + jωC
2
0
0
1
jωC1
R1
Vin
Vin − Vout
(4)
Vout =
−1
右辺を第 1 行で展開すると
(3)
また、imaginary short を用いて
0
I12
I23
=
I24
0
Vin
Vin − Vout
(12)
I23 が導出できたため、式 (4) の両辺に |A| をかけて、式 (12) を
代入すると、
Vout
= α2 I23
|A|Vout
= α2 |A|I23
|A|Vout
= α2 (α1 Vin + R1 Vout )
|A|Vout − α2 R1 Vout
= α1 α2 Vin
(|A| − α2 R1 )Vout
= α1 α2 Vin
|A| を代入すると、
Ω = ω/ω0 として、右辺を G(Ω) に置き換えると
(α1 α2 + R1 α1 + R1 α2 + R2 α1 + R1 R2 − R1 α2 )Vout = α1 α2 Vin
G(Ω) =
√
=
√
(α1 α2 + R1 α1 + R2 α1 + R1 R2 )Vout = α1 α2 Vin
伝達関数 Vout /Vin の形にすると
Vout
Vin
α1 α2
α1 α2 + (R1 + R2 )α1 + R1 R2
1
=
=
=
)
−ωω0
ϕ(Ω) = tan
Q(ω02 − ω 2 )
)
(
−1
−1
= tan
Q(ω0 /ω − ω/ω0 )
(
)
−1
−1
= tan
Q(1/Ω − Ω)
−1
2 )α1
1 R2
1 + (R1α+R
+R
α1 α2
1 α2
1
1 + (jω)(R1 + R2 )C2 + (jω)2 R1 R2 C1 C2
K
(1 − Ω2 )2 + (Ω/Q)2
位相 ϕ(Ω) とすると
α1 , α2 を代入すると、
Vout
Vin
K
(1 − ω 2 /ω02 )2 + (ω/(ω0 Q))2
(13)
(
2 次のローパスフィルターの一般式に変換すると、s = jω として
1/(R1 R2 C1 C2 )
Vout
= 2
Vin
s + (R1 + R2 )/(R1 R2 C1 )s + 1/(R1 R2 C1 C2 )
(14)
以下に、上式を用いたゲイン曲線、位相曲線を示す。
となる。式 (14) より、ω0 , K を求めると、
√
ω
=
K
= 1
1
R1 R2 C1 C2
(15)
(16)
また、Q の値は、
ω0
Q
R1 + R2
R1 R2 C1
R1 R2 C1
Q = ω0
R1 + R2
R1 R2 C1
1
= √
R1 R2 C1 C2 R1 + R2
=
したがって、
√
Q =
R1 R2 C1
√
(R1 + R2 ) C2
(17)
Fig.2 2次ローパスフィルター ゲイン曲線
ω0 , K, Q を用いて式 (14) を表すと、
Vout
Kω02
= 2
Vin
s + ω0 /Qs + ω02
K:ゲイン ω0 :固有振動数
(18)
Q:共振鋭度 (Q 値)
式 (18) を用いて、ゲイン曲線、位相曲線を描く。まず、s = jω
を代入して、
Vout
Vin
Vout
Vin
=
=
Kω02
2
−ω + jωω0 /Q + ω02
Kω02
2
2
ω0 − ω + jωω0 /Q
両辺の絶対値を取ると
Vout
Vin
Vout
Vin
Vout
Vin
=
=
=
Kω02
ω02 − ω 2 + jωω0 /Q
|Kω02 |
|ω02 − ω 2 + jωω0 /Q|
Kω02
√
(ω02 − ω 2 )2 + (ωω0 /Q)2
Fig.3 2次ローパスフィルター 位相曲線