(comparator circuit)
21 2 10
1 1
1.1 問題 1
次に示す入出力間の関係をもったコンパレータ回路を作成せよ。
Fig.1入出力動作
1.2 解法 1
Fig.1の入出力間の関係を考えると、立上がりと立下りの入力電
圧が違うことが伺える。そこで、ヒステリシスコンパレータ-を
考えることで、上記動作を行える回路を作成する。
まず、以下のような回路(Fig.2)を仮定し考えてみる。
問題の入出力動作では、出力電圧が-10Vから 10V の変動である
Fig.2コンパレータ回路(立上がりと立下りを区別)
のでオペアンプの電源については± 10V のものを考えた(オペア
ンプの損失は考慮しない)。次に、ヒステリシスコンパレータを
考えるので、マイナスの入力側に、動作の敷居値となる Vref をと
り、プラス入力側には、入出力間の抵抗分割で与えるものを考え
た(ヒステリシスコンパレータの一般形)。立上がりと立下りで場
合分けをした理由は、入出力間動作を見てもわかるように、立上
がりと立下りで敷居値が異なる。したがって、抵抗の比もしくは、
Vref 1;2 を考慮
コンパレータ回路の動作検証
― コンパレータ回路 (comparator circuit) ―
増成伸一
平成 21 年 2 月 10 日
1
コンパレータ回路 1
がりと立下りで敷居値が異なる。したがって、抵抗の比もしくは、
1.1
問題 1
Vref 1,2 を考慮することは明らかであるため、場合分けを行った。
次に、この回路の立ち上がり時を考えてみる。出力電圧 Vout
は、入力電圧が 5V を越えるまでは −10V を出力し続けるため、
次に示す入出力間の関係をもったコンパレータ回路を作成せよ。
次の式が成り立つ。(点2での電圧 V+ 、点 1 から点 5 までの電流
を I1 (I2 ) とする)
5 − V+ = R1 I1
(1)
V+ − (−10) = R2 I1
(2)
V+ = Vref 1
(3)
同様に、立下り時を考えてみると、次の式が成り立つ。
Fig.1 入出力動作
1.2
解法 1
Fig.1 の入出力間の関係を考えると、立上がりと立下りの入力電
圧が違うことが伺える。そこで、ヒステリシスコンパレータ−を
考えることで、上記動作を行える回路を作成する。
まず、以下のような回路(Fig.2)を仮定し考えてみる。
問題の入出力動作では、出力電圧が-10V から 10V の変動である
3 − V+ = R3 I2
(4)
V+ − 10 = R4 I2
(5)
V+ = Vref 2
(6)
上記式(1)〜(6) までを整理すると
5 − Vref 1
R1
3 − Vref 2
R3
Vref 1 − (−10)
R2
Vref 2 − 10
R4
=
=
さらに、抵抗の比で両場合を表すと
R2
Vref 1 + 10
=
R1
5 − Vref 1
R4
Vref 2 − 10
=
R3
3 − Vref 2
ここで、以下の条件を考える。
R2
=
R1
Vref 1 =
R4
R3
Vref 2
(7)
(8)
(9)
(10)
上記条件は、立上がりと立下り時で、抵抗の比と敷居値としての
電圧が等しいことを表している。この条件を考慮すると式 (7)(8)
より、次のように表せる (Vref 1 = Vref 2 = Vref )。
Fig.2 コンパレータ回路(立上がりと立下りを区別)
Vref − 10
Vref + 10
=
5 − Vref
3 − Vref
(Vref + 10)(3 − Vref ) = (Vref − 10)(5 − Vref )
−7Vref + 30
15Vref − 50
40
Vref =
11
のでオペアンプの電源については± 10V のものを考えた(オペア
ンプの損失は考慮しない)。次に、ヒステリシスコンパレータを さらに、式 (11) を式 (7) に代入すると
R2
(40/11) + 10
考えるので、マイナスの入力側に、動作の敷居値となる Vref をと
=
R
5 − (40/11)
1
り、プラス入力側には、入出力間の抵抗分割で与えるものを考え
(150/11)
た(ヒステリシスコンパレータの一般形)。立上がりと立下りで場
=
(15/11)
合分けをした理由は、入出力間動作を見てもわかるように、立上
= 10
=
(11)
(12)
検算として、式 (8) にも代入すると
R4
R3
=
=
=
2.2
(40/11) − 10
3 − (40/11)
−(70/11)
−(70/11)
10
解法 2
まず、コンパレータ回路 1 と同様の回路(電源電圧の方形波)
を作ることを考える。そして出力電圧が± 10V となるようにツェ
ナーダイオードを利用する。全体の回路構成は以下の図に示す。
R2
Vout2
最終的に設計された回路を Fig.3 に示す。
+10V
t
Vin1
0
+15V
R1
-10V
Vout1 Vin2
2
1
5
3
-13V
Vout1
Vref
R3
6
Vout2
8
7
+15V
t
0
4
-13V
9
Fig.5 コンパレータ回路 2
前段の係数 (R1 , R2 , Vref ) を決定すると
Vin = 5, Vout = −13 より
Fig.3 コンパレータ回路(計算結果後の回路)
Vref =
最後に、所望の動作になっているか確認を行う。
コンパレータとしての機能なので、下記の条件を満足してれば
−13R1 + 5R2
R1 + R2
(15)
15R1 + 3R2
R1 + R2
(16)
Vin = 3, Vout = 15 より
良い。
40
11
40
Vout = 10[V ] のとき V+ =
11
Vin = 5[V ], Vout = −10[V ] のとき V+ =
(13)
Vin = 3[V ],
(14)
Vref =
式 (15),(16) より
上記条件について計算を行うと
Vin = 5, Vout = −10 の場合
50R1 − 10R1
40
V+ =
=
R1 + 10R1
11
Vin = 3, Vout = 10 の場合
10R1 + 30R1
40
V+ =
=
R1 + 10R1
11
コンパレータ回路 2
2.1
問題 2
=
15R1 + 3R2
R1 + R2
15R1 + 3R2
28R1
=
2R2
=
したがって、
R2 = 14R1
(17)
式 (17) を式 (16) に代入すると
となり、式 (13)(14) を満足していることがわかる。
2
−13R1 + 5R2
R1 + R2
−13R1 + 5R2
Vref
=
=
15R1 + 42R1
15R1
57
15
したがって、
次のオペアンプを使用し、問題 1 と同様の出力を出す回路を作
成せよ。使用するオペアンプの電源は、+15V、-13V とする。
Vref =
19
5
(18)
式 (17) より、回路前段の定数は設定することができた。次に、こ
の電源電圧の方形波を± 10V の出力に変換する。
+15V
次に、回路後段について考察する。回路後段は、抵抗とツェナー
ダイオードの組み合わせで構成されている。ダイオードは、基準
電圧として使われている。その特性を利用して降圧回路を構成し
ている。今、ツェナーダイオードだけを考える。+15V の電圧が
-13V
Fig.4 使用するオペアンプ
Vin2 に生じているとすると、順方向につながったダイオード間で
は、順方向特性の電圧降下が起こり、逆方向につながったダイオー
ド間では、降伏電圧が発生する。したがって、順方向の電圧降下と
逆方向の降伏電圧を合わせた値が、+10V になるようにツェナー
ダイオードを選定すればよい。-13V の時も同様の考えでいける。