『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(梅森直之)
<全体のまとめ>グローバリゼーション、ナショナリズム、日本人とは
ベネディクト・アンダーソン、彼の名前とその有名な著書『創造の共同体』については名称だけは知っていた。実際に著作を読んだことはなかったので今回が初めて彼に関する文章を読むことになるのだが、日本語訳のせいか、非常に読みやすかった。少なくとも授業のテキストよりかは自然に入ってきたと思う。『<民主>と<愛国>』は確かに02年に初版が出版されたが内容的に戦後のこと、そして文書のレベルも高度なので理解するにはかなりの努力を必要とするが、この新書はさわり心地がよかった。文章の書かれている時代が現代に力点をおいているせいもあろう。文章はその語っている時代に多かれ少なかれ影響を受ける。現代に住む私が、戦後のことを綴った文章よりも現代のことを扱っている文章のほうが親しみやすいのは自然であろう。
彼の文章を読んでいくつか注目したところがある。まず一つ目は、18頁後半にある本は「一度出版した途端にあなたのものではなくなる」というところに気付かされた。今までは著者は自らの執筆...